リメイク版 『ベスト・キッド』(2010)を見てきた!

 近くでやってるのが吹き替え版しかなかったので、吹き替え版を見に行った。
 面白かった。
 基本的なあらすじは前の映画と同じなんだけど、主人公の黒人の少年ドレ・パーカーの子が凄くショタ可愛かった。
 しかも、吹き替えの声が『クレヨンしんちゃん』で「しんのすけ」の声をしている「矢島晶子」さん。
 やばいくらいにショタかわいいの。行動とか、いちいち子供っぽくて(笑)
 ヒロインがどうでもいいくらいにショタかわいいドレくん。
 ウィル・スミスの息子のジェイデン・スミスくんがやってんだけど、はまり役だったなぁ。
 で、後ジャッキー・チェンのアクションもよかった。
 少年相手とはいえ、6人を相手に凄いアクションだった。
 あと、ライバルのチョンが凄い「いじめっ子顔」だった。これはいい、一目で分かるいじめっ子(笑)
 あれはスタントなのか本人なのか分かんないけど、初めて会った時、きっちりカンフーの動きしてた。
 彼のえーと、あのケリ方なんだっけな? ヤクザ蹴りみたいな、あれ。あれが彼の決め技だと初登場から印象ついて、その後も一貫して動きに特徴があった。
 後、修行のシーンが、ありきたりとはいえ、ジャケットの「脱ぎ・かけ」の繰り返しで、「カンフーは全ての生活の中にある」とするのにニヤニヤ。でも、その意味を教えるシーンは最初「それはねぇぇよぉぉぉぉ」と思った。言いたいことは分かるんだけど(笑)
 あと、ジャッキーのハエを潰したり、歯磨き粉のキャップを飛ばすシーンが地味に好き(笑)

 しかし、本格的な修行に入ってから、北京の町中で修行してると思ったら、いきなり万里の長城で修行してて、また北京のベランダの屋上で洗濯物越しにパンチを受け止めてる……と思ったらまた万里の長城で修行して、と繰り返すシーンは「うーん、あの距離をいちいち移動していたのだろうか」とどうでもいいことを考えてしまった。いや、きっと地理なんて気にしてはいけない。あれは万里の長城じゃなくてなんか近場にある山の古城なんだ、きっと!!

 で、ここからはラストシーンのネタバレなので、未見の人は読まないでくださいな。


 ラストシーンで『コブラ拳(仮)』の伏線が出て来るのがよかった。
 あれって、要は『明鏡止水』の境地なんだよね。
 山奥の修行寺に行った時に、

ドレ「さっきの蛇の人の見てた?」
師匠「ああ、見てたよ」
ドレ「すごい! 蛇と同じ動きしてた!」
師匠(ジャッキーチェン)「お前は何も見てないんだな」
ドレ「え? 違うの?」
師匠「あれは、蛇が、相手の動きの真似をしてたんだ」
ドレ「どういうこと?」
 水面を見せて
師匠「何が映っている?」
ドレ「ぼくの顔」
 水面を波だたせる
師匠「今は?」
ドレ「歪んで見えない」
師匠「水のようにおだやかな心を持ってすれば、自分に相手を映し出すことができる」
ドレ「鏡みたいに?」
師匠「そうだ」
ドレ「じゃあ、なんにもしなければ相手の動きを操れるんだ!」
師匠「なにもしないことと、水のように穏やかな心は違う」

ドレ「蛇のやつぼくもやりたい!」
師匠「あれをやるのは何十年もかかる」
ドレ「ぼくも相手の動きを操りたい!」
師匠「操るのは相手じゃない。ただ一人の動きでいい」
ドレ「え? 誰?」
(師匠に押し出されて湖にたたき落とされかけるドレ)

 まあ、まずは自分を律しないとね。
 しかし、ジャッキーはいいこと言うなぁ。(※脚本です、とか無粋なことは言わない)

 あーあと、話の途中で、随所に影絵の演出があったのもポイント。
 光を当てて、影が動く。お祭りでも、影絵のシアターを見に行き、師匠が自分の心情を吐露した時も、ドレは何も言わずに師匠を連れ出して修行に誘うんだけど、その時も実際に修行してるシーンよりも、師匠とドレの影が動く様を「映し出す」のを繰り返す。
 「映し出す」という演出が物語の重要なシーンにあるんだよねぇ。


 それはともかく、明鏡止水の境地に12歳の子が達するなんて無理な話。
 まあ、達人の動きに憧れるのは分かるけどね。
 でも、あの後お母さんを相手に睨んで操ろうとしたり、鏡に向かってじっと睨み続けたり、ノートに蛇と対峙する人間の絵を描いたり、と実はドレが諦めてないのが分かる。


 で、ラストシーンですよ。
 準決勝でわざとライバルと同じカンフー教室に通ってる奴が反則攻撃して、ドレの脚をガンガン攻撃した後、怪我を押しての決勝戦
 相手を倒すことがカンフーであると標榜するライバルの師匠はチョンにドレの脚を攻撃しろという。
 で、脚を痛めつけられて、それでも立ち上がって、ギリギリのところで最後の対決。

 ドレはジャッキーの教えてない構え――『コブラ拳(仮)』の構えを取るんだね。
 ものすごい集中力を持って相手を睨む。
 瞬間、世界から音が消える。

 とよ田みのる先生の『FLIP-FLAP』で「ああやっと静かになった」というあのシーンと同じ。

FLIP−FLAP (アフタヌーンKC)



 静止した世界の中、ドレは確かに明鏡止水に達するんだよね。(偶然か、実力かはおいておく)
 ドレが軽く首を動かす、つられて相手のチョンも同じく首を動かしてしまう。
 この時点で勝敗は決してるんだよね。
 だってチョンの心は既にドレの水鏡の中なのだから。
 言いようもない不安によって、吸い寄せられるように前に踏み出すチョン。
 次の瞬間にはドレのムーンサルトキックがチョンを叩き付けている。
 沸く観客。
 倒れ、うめくチョン。
 だが、ドレはただ構えたまま、じっと相手を見ている。
 で、審判が「勝負あり!」て言ってドレの肩を叩いてドレは初めてはっ、と気付いて周りを見回す。
 それで、会場の電光掲示板を見て、自分が勝ったことに気付くんだね。
 あの時、あの瞬間、確かに彼は明鏡止水に達してたんだ!

 そして、チョンが立ち上がって、トロフィーを審査員の人にお願いして、受け取り、自分の手でドレにトロフィーを渡すシーンはベタだけどよかった。
 それから、ライバルの道場の弟子達がみんなジャッキーに礼をするラストもよし。

 そして、原作と一緒で二人の笑顔で終了!

 いい映画だった!