<2007年 仮面ライダー電王編>

「俺、参上!」(CV.関俊彦)
 てな感じで、登場したノリノリの仮面ライダー
 モチーフは『電車』! 『時間』! そして『記憶』!
 時をかける電車、デンライナーに乗って時間の運行を守る仮面ライダーの参上だ!
 史上最弱の仮面ライダーがコンセプトなのだが、実は今までで一番強い心をもった少年かもしれない。
 時間て何だ? それは人の記憶だよ。人々の過去を守るために戦うんだよ!

 てな訳であらすじ。
 主人公は最強に運が悪くて日常生活を送ってるだけでいつも死にかける不幸な少年、野上良太郎(佐藤健)。
 そんな不幸な彼は未来からやってきたイマジン達と仮面ライダーの戦いに不幸にも巻き込まれてしまう。
 イマジン達は人間に憑依し、その願いを叶えることによってその人の人生で最も思い出深い記憶を探しだし、それを指針にして更に過去に移動する。
 そして、過去に移動したイマジンが過去の時間で暴れることによって現代の歴史も修正されてしまうのだ。
 良太郎もそのイマジンの一人『モモタロス』に取り憑かれてしまうが、特異点だったので完全に支配されず。
 むしろ、強い精神力を持ってその取り憑いたイマジンの手綱を握り、彼らを自分の体に憑依させ、仮面ライダー電王に変身し、イマジン達と戦うことになる。
 良太郎の強い精神力のせいか、不幸体質のせいか、個性豊かな4人のイマジンに取り憑かれながらも、良太郎はイマジン達を退治していく。
 そんな中、失踪した姉の婚約者「桜井侑斗」が色んな時間にいることに気付き、実は姉の婚約者が今の時間を破壊しようとする者と戦うために影ながら戦ってることに気付く。
 そして、姉の婚約者の「桜井侑斗」が若い頃の姿で登場し、仮面ライダーゼロノスとして共に時間の運行を守るために戦うことに。
 だが、ゼロノスは変身する度に自分の周囲の人間の記憶が消されていくと言う代償があった。
 時間の運行を守るという使命の為に戦うたびに人々に忘れ去られていく桜井侑斗。
 この世界観は過去=人々の記憶で成り立っているので、人々に完全に忘れ去られてしまうとこの世界から消失してしまう。
 だが、彼は時間を守るために、未来の婚約者である良太郎の姉を守るために自分の存在を削り、戦い続ける。
 そこへ、立ちふさがる敵。イマジンのボス。
 未来からイマジンを送り、過去を改変しようとしていたのは、失われた未来の時間を歴史を変えることによって取り戻そうとしていたからだった。
 何故良太郎の時代にイマジンが現れるのかというと、そこがちょうど二つの未来の分岐点だったからだった。
 良太郎が本来辿るべきだった未来へと時間を進めるために良太郎達は戦うが、未来を確定させてしまうと失われた未来からやってきた仲間のイマジン達も消えてしまう。
 だが、仲間の『モモタロス』達はそれでも、良太郎に力を貸し、時間の流れを本来の流れに戻し、モモタロス達イマジンは消えていく。
 けれど、良太郎は彼らのことを忘れず、覚えていた。ゆえに、モモタロス達は消えず、新たな時間の流れの中でもその存在を維持することが出来た。
 かくて、良太郎はデンライナーを降りて、日常生活に帰って行く。だが、さよならは言わない。いつか未来で会えるはずだから。
 こうしてデンライナーはまた時間の旅へと旅立っていく。


 ……なんてしめつつ、電王は大人気だったため、味をしめたのか何度も続編が作られ、そのたびに良太郎はデンライナーに乗ってモモタロスと共に戦うのだけれど(笑)

 なにはともあれ、『バディ』ものですよ『バディ』もの! 人間と、人外の化け物とのバディもの!『うしおととら』みたいに化け物とのバディものは傑作が多い。
 良太郎は単体では弱いから、必ず仲間のイマジンを体に憑依させないと戦えない。二人の心がきっちりと合わさらないと戦えない。
 しかも、良太郎には『モモタロス』『ウラタロス』『キンタロス』『リュウタロス』と4人ものイマジンが取り憑いており、全力を出すには全員の心を一つにまとめないといけない。
 良太郎と仲間達の交流・友情がとてもよくて、実にいい話なんだな。
 そして、その裏で自分の存在を削りながら戦う旧来のヒーロースタイルの「桜井侑斗」。
 彼もまた、相棒のイマジン『デネブ』と共に戦うのだけれど、デネブとの友情もまた熱い。泣ける。
 彼と良太郎の姉とのラブロマンスもまたこの物語の一つの肝。
 仮面ライダーで恋人の為に戦うやつが少なかったし、純情なヤツも少なかったのだけれど、それに対して「桜井侑斗」の不器用な真っ直ぐさは多くの女性ファンを射止めたという。
 ま、ぶっちゃけ腐女子人気が凄く高いんだね、この作品。
 良太郎の笑いあり涙ありのコメディ路線と、桜井侑斗のシリアス路線で硬軟を上手く取り入れて、電王はとてもエンターテイメント性が高く、その後も続編が多く作られる。
 イマジン達に人気声優だったし、主演の「佐藤健」もこの後色んなドラマで引っ張りだこの売れっ子になる色々と商業的に成功した作品だった。


 2007年は、バディものとは少し違うけど、『グレンラガン』がアニメ放映。
 あと、前年のカブトの映画版で軌道エレベーターが出ていたが、それが建設された未来を描いた『機動戦士ガンダム00』も放映。
 えーと、後は特に関係ないけど、『らき☆すた』があったり、『CLANNAD』があったり、『電脳コイル』があったり、『DARKER THAN BLACK』があったりしたなぁ。
 あ、でもバディものとしたら『魔人探偵脳噛ネウロ』がアニメ化したのも関連で入れてもいいかな。
 うーん、意外とタイムスリップものという関連作品が浮かばない。哲学さんのデータベースの少なさか。
 というか、「電王」は人気が高いので結局今も現在進行形で物語が続いてたりして、ちょっとくくるのが難しい。


 まあそれはともかくとして、コメディ路線でガンガン進んだ電王だったのだけれど、カブト、電王、と時間ものがバンダイの企画部で流行ったのか、次の年は何と、過去と現在の同時進行によって話が進むというザッピング方式が展開されることになるのだった。