日本が小さいなんて幻想だ!
よく、「日本は狭いから」なんて言うことが言われる。日本人の多くは日本が狭いものだという風に見ている。
そりゃ、世界地図を広げてみれば近くには中国があって、ロシアがあって、最も親しい国がアメリカで、そんな国々と比べたら日本なんてとても小さい国だ。
確かに地球儀を見ればとても小さく見える。
が、日本そのものが小さな国かというとそんなことはない。
EUの他の国々と比べたら、ドイツやフランス、イタリア、イギリスなどと比べても国土面積は言うほど劣っている訳ではない。日本が比較対象とする相手が間違っているのである。
日本は地球の小さな一部分でしかなかったとしても、日本は世界の中ではごく平均的な広さの国である。国際連合加盟国192ヶ国の中では60位であり、国際連合では過半数が日本よりも小さい国である。
つまり、日本が小さいなんてのは幻想である。
そして、ひとつ日本人が大きく見落としていることがある。
それは、日本人がとても多いことである。
日本の人口は世界の中で何番目か? と聞かれたら答えられる人は少ないと思う。
日本の人口が何人くらいか? と聞かれれば「一億人ちょい」と答えられるひとはそれなりにいるとは思う。
ちなみに2004年の調べでは約1億3千万人である。目下、人口は減り続けているが、それでもこれだけの人数がいる。
これは世界で「多い方」なのか「少ない方」なのかと聞かれたら実は「凄く多い方」なのである。試しに他の国の人口を並べてみよう。
1位:中華人民共和国 約13億人
2位:インド 約10億6千万人
(# EU連合(27カ国合計) 約5億人)
3位:アメリカ合衆国 約3億人
4位:インドネシア 約2億4千万人
5位:ブラジル 約1億8千万人
6位:パキスタン 約1億6千万人
7位:ロシア 約1億4千万人
8位:バングラディッシュ 約1億4千万人
9位:ナイジェリア 約1億4千万人
10位:日本 約1億3千万人
11位:メキシコ 約1億人
12位:フィリピン 約8千600万人
13位:ベトナム 約8千300万人
14位:ドイツ 約8千200万人
15位:エジプト 約7千600万人
16位:イラン 約6千900万人
17位:トルコ 約6千900万人
18位:エチオピア 約6千800万人
19位:タイ 約6千500万人
20位:フランス 約6千300万人
21位:イギリス 約6千100万人
日本は世界で10番目に人口が多いのだ。
それどころか、イギリスやフランスなど先進国は日本の半分しか人口がいない。国面積は近いのに。ちなみに、スペインは4千万人しかいないので日本の1/3しか人口がない。しかし、日本よりも広い。
アメリカ合衆国の半分近くも日本人はいる。
しかも、あれだけ広いロシアと日本の人口はほぼ一緒くらいである。
これらの事実が何を意味するかと言われれば――答えは簡単で、日本人は住んでる土地の割に「多すぎる」のだ。
日本人はGDPが世界第2位で金持ちで、人数も多い。世界でも類を見ない「裕福」な国だ。そして、そんな裕福な人間がイギリス人の倍以上もいるのである。
むろん、それは平均値であり、日本にも格差はある。
ニートが64万人もいると言われている。日本の人口の200人に1人がニートなのである。
ちょうど、フランスの人口の1/100くらいの人数でもある。
そんなに働いてない人間を抱えているのに高いGDPを維持しているのだから日本は裕福と言わざるを得ない。
こんな島国にロシア人と同じくらいの人数が住んでいるのだ。そりゃ「狭い」と感じるのも仕方ないだろう。
無論、狭いと感じるのは都市部であり、過疎の進む地方に行けば逆に広く感じることだろう。
むしろ、都市部の過密具合は色々と考え直すべき課題であるのは明白だろう。人口密度が高すぎる。
まあ、世界一人口密度の高いバングラディッシュとは比べるべくもないのだけれど。
というか、バングラディッシュと日本の人口がさほど変わらないことが哲学さん的には色々とショックだ。
こんな状況下なのだから、日本人が減るというのはある意味当たり前のことである。
自然の調整機能――あるいは自浄作用みたいなのが働いて、多すぎる日本人を今減らしているとも捉えられる。まあそんなこと言ったらバングラディッシュはどうなんだ? という話になってしまうのだけれど。
こんな状況で外国から人材を流入させる為に「移民庁」とか作ろうとするのは大間違いで、むしろ、日本人はもっと積極的に海外に出て行くべきである――と考えられる。
けれど、内向的な日本人は海外に出ない。しかし、日本の土地は今更増えない。
ならどうすればいいのかというと、もっと地方に人口が分散するようにするしかないのではないかと思う。
が、地方には雇用が無く、都市部に雇用が集中してしまう。そんなことをすればますます人口密度が上がって、少子化は加速してしまう。
なので、もっと地方を活性化すべきなんだろう。それが少子化の一番の解決策な気がする。
幸いにして、IT化が進み、全国どこからでも東京と情報を交換できるようになっている。
ならば、ソフトウェア会社などIT関係の会社を次々と地方に誘致してしまえばいいかもしれない。が、それによって地方には沢山のIT土方を増発することになるかもしれない。
なんにしても、日本は世界的に見ればすごく人的資源に恵まれている環境だと思われる。このリソース(資源)を使わずに腐らせているのは非常勿体ないことだ――と思った。