アシで稼ぐ創作力

 アイデアが出ない!
 小説のネタが思いつかない!!
 漫画のネームが出来ない!!!!
 そんな方にオススメのアイデア創出法を紹介しようと思う。


 なんて言ってみたが別にそう大したことではない。
 人間の部位の中で足とは一番心臓から遠い所である。
 つまり、一番血が通りにくいところである。
 特に、歩いてない時、座ってる時などは足は動かないので血も余り巡らない。
 そうすると、心機能も静的な状態になる。
 すると、主要な部分以外には最低限の所を回るのみである。
 しかしながら、歩くことによってどうしても足が刺激される。と言うことは、心臓から一番遠い足に血を巡らせるために心臓も活性化し、足だけでなく、全身に血が巡りやすくなるはずである。
 ……はずである。
 ここに根拠はない。
 この妄想を前提として話を続ける。

 ともかく、脳みそに血が回り、更に歩くことによって常に定期的に足の裏から刺激が来ることにより、よりよく脳みそが活性される――はずである。
 ここに根拠はない。
 この妄想を前提として話を続ける。

 更に、歩き回ることによって常に脳には止まっている時以上の刺激が与えられる。めまぐるしく変わる風景、歩くための重心移動、歩く道の選択、他人とぶつからない為の配慮、車などに対する注意。
 つまりは、歩いてる時の方が座ったりしている時よりも余計に考えることが多いはずである。
 少しは根拠があるかもしれない。
 この僅かな可能性にしがみつつ話を続ける。

 ともかく歩きながら物を考えると、普段よりは頭の血の巡りも良くなるが、代わりに一つのことだけを集中して考えるにはあまり適しているとは言えない。
 一つの事を考えながらも常に他のことにも気を配らなくてはいけなくなる。
 メインの思考に他の思考が割り込んでくるのである。
 しかしながら、創作とは何かと何かを掛け合わせて新たな融合を創り出す錬金術のはずである。
 これは諸説あるのでこれが絶対に正しいとは言えない。
 だが、この説を前提として話を続ける。
 なんにしても、脳みその中で同時に色んな事を考えるので思考がシャッフルされやすくなり、場合によっては新しい何かが生み出されやすくなるのである。
 特にコレは、作品の全容が曖昧だったり、未確定要素が多い、初期段階――「ブレーン・ストーミング」の段階に行うと非常によい効果が得られるかもしれない。かもしれない。かもしれない。かもしれないかも?
 ともかく、アイデアがまだ固まってない時、これから固める時――などに最適と思われる。
 なるべく刺激は大いに越したことはないので、毎日同じ巡回コースにせず、周期的に変えるとよいだろう。
 例えば、いつも行くコースと逆回りにするとかでもいい。あるいは、寄り道を増やすなどでもよい。
 買い食いをして口を動かせばより脳も活性化するだろう。だが、そこで座りすぎて脳を沈静化させては意味がないので休むのは五分以内がよい。
 また、歩くのに疲れて休む場合は、周りに動く物が多いところで休むとよいだろう。例えば、子供達が遊んでいる公園や、人通りの多いショッピングモールの休憩所など。座っている時も何かを観察しながらものを考える方がよい。
 無駄な事を考えて普通は繋がらない物を繋げて新しい何かを繋げるのがこの創作法の主旨である。
 こうして歩き歩いて脳内のアイデアを整理して家に帰ってくると疲れてテレビをつけて菓子をバリボリ喰いながら寝転がったりしたくなる衝動が起きることが多分にあると思うが、それをぐっと堪えてメモ帳、ノート、ないしはパソコンの前に座り、何でもいいから考えてきたことをまとめるとよいだろう。洗濯物や食事の準備などがあっても、最低限五分は思索のまとめなどにつぎ込むとよい。
 この様にして新しい何かを捻出するのである。
 よく漫画家とかがネームにつまったりしてその場でぐるぐる回って考え込んだり、名探偵がその場でぐるぐる回りながら考えるには実はこの様な行為を無意識に行っていたことの証左なのである。ごめん、それは妄想。
 複数の事柄が上手く繋がらない時、その糸口を掴むのにはこうして歩くのが最適である。
 また、試験や授業など脳を使う物事がある時は事前に散歩、もしくはその場で屈伸などして予め足を刺激していた方が脳の血の巡りがよくなって頭が回りやすい……ってうちの父親が言ってた。真偽は定かではない。ただ、やりすぎると足が疲れて試験中にぐたーってなって眠りたくなるので屈伸のしすぎには要注意。適度に脳を働かせよう。


 さて、ある程度固まってアイデアを詰めていく時は逆に座してじっと黙考する。
 先ほどとは逆に物事を詳しく細かく考える時は余計な事を考えないようにし、じっくりと物事を考えた方がよい。
 ただ、ある地点で詰まるとまた歩くとよいだろう。
 で、どーすればいいのか、頭が回らず漫画家などがその場でぐるぐる回ったりする訳だ。こうした行為は以下略。

 歩く→座る→歩く→座る

 このサイクルを繰り返すことによって創作活動はよりしやすくなるだろう。
 ただし、同じ事ばかりすると人間は慣れてしまい、すぐに脳は活性化しなくなり、むしろ「習慣化」行動として脳は既存行動のルーチンワークに移行して新しいアイディアが出にくくなる。
 なので、同じ事の繰り返しはしない様に工夫すべし。
 散歩コースを変える、買い食いの場所を変える、普段と違う行動(旅行に行く、スポーツをする、)を取ることがなによりも重要である。そうすることによって脳みそは常に新しいことを考えないと行けなくなるからである。
 また、これは心構えの問題でもある。せっかく旅行に行っても「ここは××と似たような所で詰まらない」と考えることは脳みそがあまり動いてないと思われる。逆に、「同じ日本だから××と○○は似てる部分は多いけど、こことここが違う!」など常に普段と何処が違うのかということを意識しながら行動することを日常生活から心がけよう。
 これを心がけていれば、いつもの散歩コースを歩いていても「あ、ここに新しい喫茶店が出来るんだ」とか「15時前後くらいは学校帰りの学生が多いけど、夕方はサラリーマンが多い」とかどうでもいいことに疑問を持つ好奇心を育てることがなによりもクリエイターに必要とされる素養であると思われる。かもしれない。
 根拠は特にないが、そう信じて日常をエンジョイすべし。さすれば道は開かれん。