萌えキャラ近代史?

 まあ「無垢な少女」系が一番流行ったのが2004年。
 2004年前後は空前の妹ブームで「血の繋がった妹なんていないよ」なんて訳わかんないことを言い出す人が続出したりして「妹キャラ」とか「絶対に自分を裏切らないキャラ」「駄目な自分を面倒見てくれるキャラ」とかが多かったように思う。
 おかげで主人公も駄目な人間が多かった。
 で、2005年は多分、「ツンデレ」の年だったと思う。
 ともにもかくにも素直じゃないキャラクター達。ホントは好きな癖にそうと認めないキャラクター。これは前年度の「妹系」が「自分を全肯定してくれるキャラ」達だったのが食傷気味になったからでなかろうか。
 2004年のキャラは基本的に「主人公を好き!て言ってくれるヒロインに主人公が惚れる話」が多かった気がする。この場合、主人公がヒロインに「ボクも好きだよ」と言えばそこで恋愛は成就する。攻略がとても簡単なのだ。
 で、2005年になると、主人公が幾ら「好きだ!」と言っても「ふん、私はそんなんじゃないわよ、犬」と吐き捨てられるのである。それで、接していくうちに好きにさせるが、それでも向こうは素直に好きと言えない。「相手を好きになる」→「好きにさせる」→「頑なな態度を素直にさせる」と三段階の行程が出来て、ヌルゲーマー向けの難易度の低い恋愛ゲームからちょっとこなれたゲーマー向けの恋愛ゲームになったと見れる。
 で、2006年はどうだったのか。
 今度は男がツンデレで、女が素直――ツンデレ×素直系が多かった様に思う。もしくはツンデレ×ツンデレ。後は素直クール、てところか。まあ、みんな流行に乗らないようにかなりバリエーションを増やして差別化を狙った感じか。
 「このライトノベルが凄い2006」のヒロインランキング1位だった「ホロ」(『狼と香辛料』のヒロイン)なんかは部類で言えば素直系だと思う。
 この場合の素直というのは「自分は相手が好きだ」と言うのを表明しているかどうかの判断。
 実際ホロの性格はどちらかと言えば素直ではない。自分が相手を好きですよ〜という気持ちをちらつかせつつも、それを素直に言わず、遠回しに、だけど相手には分かるように伝えてくる。恋愛の駆け引きを楽しんでくるタイプ。時に誘惑しつつ、時に遠ざける。でも、意外に寂しがり屋。基本的には男を手玉に取りつつも、芯の所では寂しがり屋の臆病者。Sの独占欲もMの被支配欲も満たす万能キャラ。何これ最強?
 他を見ていくと2位が素直クール長門有希(『涼宮ハルヒの憂鬱』)、3位がツンデレ涼宮ハルヒ(『涼宮ハルヒの憂鬱』)、4位の天野遠子 (『文学少女』シリーズ)は知らないのでパス、5位はクールのキノ(『キノの旅』)、6位はツンデレ逢坂大河、7位の秋庭里香(『半分の月がのぼる空』)は知らないのでパス、8位のヴィクトリカ(『GOSICK』)も知らん、9位はツンデレのシャナ(『灼眼のシャナ』)、10位はツンデレのルイズ (『ゼロの使い魔』)と、素直とツンデレの比率はまあ……知らないキャラが居るので微妙だが同じくらいじゃないか。いや、ツンデレの方が少し多いか。
 なんにしても、攻略が難しそうなヒロインが増えてる感じだろうか。