ライトノベルの歴史

 私は歴史とかを調べたり語るのは好きだ。
 とはいえ、オタクカルチャーについてアーダコーダと歴史を語るのは主軸が定まらないモノが多くて、どうにも言ってる事があってるちゃ、あってるが……どうにもなにか物足りない、みたいな文章が多いように思う。
 恐らくそれはオタクはオタクでも多岐に渡るカテゴリーに分岐しており、そのカテゴリーを誰も彼も行ったり来たりしてるからだろう。
 アニオタ、エロゲオタ、美少女ゲーオタ、マンガオタ、ラノベオタ、声優オタ、TRPGオタ、ガレキオタ、TCGオタ、etc……。
 そして、このカテゴリと共に大きく問題となってくるのが「世代差」である。
 「カテゴリ」「世代」「オタクとしての浅さ・深さ」この三つがまあ、色々絡み合ってこのジャンルを複雑化してると思う。

 オタクは基本的に守備範囲が跨る。
 メイン・サブがあると思う。
 たとえば、

メイン:アニメ
サブ:声優

 の人もいれば

メイン:アニメ・ゲーム
サブ:マンガ・プラモ・小説

 な人もいるし、

メイン:声優
サブ:アニメ

 とか

メイン:アニメ・小説・マンガ
サブ:上記のメディアミックス

 とか。
 で、今問題になってるのは、なんとなく私が読んでる限り、
○アニメの原作が今まで「マンガ」が多かったのに、「ラノベ」と「エロゲ」が増えたんじゃない?
○オタクのメインフィールドが美少女ゲームから「ラノベ」に移行したんじゃない?

 と言うもの。
 色々な記事を読んでいると……どーも、ハルヒのブームを過大解釈しているような気もする。
 ハルヒの勃興はこれまでにないもの……と言う意見は多いが、私からしたら、全盛期の「スレイヤーズ」と比べればそれ程でもないと思う。
 ただ、「スレイヤーズ」との大きな違いは、「インターネット」による情報の共有が格段に進んで短期的に莫大な数のユーザー(視聴者とかファンとか読者とか)を得た事だろうか。
 それは今までにないものと言えば、そうなんだけど、そのコミュニティの広がりは今まで美少女ゲーム・エロゲでやられていた手法に近い。
 そんなモンだから、ハルヒの実態は「スレイヤーズ」みたいなブームを「美少女ゲー・エロゲー」的な手法でファン層を獲得した、て感じに私は見える。
 それを受けて、「美少女ゲー・エロゲ」層の人達がそれまでオタクの中心文化が「アニメ・マンガ」「ゲーム」だったものに「ライトノベル」を付け加えよう!!てなムーブメントになってる様に思う。(参考リンク:http://d.hatena.ne.jp/genesis/20061115)
 だが、ラノベ側からすれば、「いや、ちょっとラノベの数作品が流行っただけでいきなり表舞台のスターになったようには見えない」と言う感じだろう。(参考リンク:http://d.hatena.ne.jp/kim-peace/20061115)
 まあ、さっき言ったメイン・サブの守備範囲で
メイン:ラノベ
サブ:ビジュアルノベル
 の人は居ても、
メイン:ビジュアルノベル
サブ:ラノベ
 の人はどうも少なそうだ、と言う意見には同意。
 まあ、メイン・サブなんて決めつけるのは中々難しいのだが。

 そもそも、あるストーリーを読み解くに対して、そのやりやすさは
アニメ≧マンガ>ゲーム>小説
 な様に私は思う。個人差は多いだろうが、やりやすさの面から言えば
アニメ:見るだけでよい。能動的な動作(ページをめくる、ゲームのボタンを押す等)はしなくていい。文字はほぼない。絵と音。前に戻れない。自分のペースで進まない。(録画除く)
マンガ:ページをめくらないといけない。文字が少ない。絵と文字。自分でページを戻したり、先の方だけ読んだり(飛ばし読み)出来る。
ゲーム:自分の意志で能動的に動かさないといけない。絵と文字と音。自由に前の展開に戻したり、しにくく、先の展開まで飛ばす事は既読以外はほぼ不可能。
小説:自分でページをめくらないといけない。大量の文字と僅かな絵。前のページを読み直したり、とばし読みが容易。

 また、下から順に、読解力(あるいは妄想力)が必要になると思う。つまりは、読者・視聴者・プレイヤーの負担の増減。
 疲れてへとへとになって会社から帰ってきても、ソファーに寝っ転がりながらアニメを見るのは楽だが、小説を読むのは少し労力が居る……そう思う。
 ここら辺の手間の差は意外に馬鹿に出来ない様に思う。無論、そこに主戦場を置くオタクならば疲れてへとへとになって帰ってきても平気で徹夜でエロゲしたり、MMOしたりする剛の者がわんさか居るが、ラノベが敬遠される所以はやはりその手間なんじゃないだろうか。
 少なくとも、コミック一冊読み切るのと小説一冊読み切るのとの時間を比べたら大多数の人間は小説を読む時間をとても喰うと思う。

 で、何が言いたいかというと、そんな手間が掛かる小説という分野に浅いオタク層は余り手を出してこなかった……が、最近は少しずつ増えてるみたいねー、てこと。
 まあ、文字が主戦場のWEBで沢山の文字を読むようになり、ビジュアルノベルで、更に文字を読むようになって……ついにライトノベルまで手が伸びた……人もいるだろう、て感じ。
 とはいえ、やはりカテゴリ事の断絶が昔より緩やかになった、てだけでそれで主戦場が移った訳じゃない。
 今も昔も、アニオタ、ゲーオタ、ラノベオタ、とかは自分の分野を守りつつ、他の分野に浮気しやすくなった……てくらいかなぁ。