<2009年 仮面ライダーディケイド編>
「全てを破壊し、全てを繋げ!」
平成ライダー10周年記念! モチーフは「バーコード」?
お祭りだよ全員集合!的なノリノリ企画の登場だ!
クロスオーバーで今までの仮面ライダーが出てきまくる平行世界物である。
まさに仮面ライダーの『スパロボ』。まあ、RXの時にも『仮面ライダーSD 疾風伝説』があったんだけどね。
なにはともあれ、あらすじ!
記憶を失った青年「門矢 士」(かどや つかさ)は、とある写真館に居候していた。彼がとる写真はかならずぶれてしまう。
「ここは俺がいるべき世界ではない。だから、世界の方が俺に写真を撮らせない」
とか訳の分からないことを言う。今居る世界が自分の世界であるという自信がなかった。
そんな折り、突如として町中に様々な怪人が出現。オルフェノクやワーム、魔化魍、イマジンなど様々なモンスターが暴れ出し、世界が崩壊していく。
そこで、士は謎のベルトを手に入れて、「仮面ライダー ディケイド」へ変身。
更に、ディケイドは様々な『仮面ライダー』の姿に変身し、敵を倒していく。
そこで、謎の青年(紅 渡)に「九つの仮面ライダーの世界とこの世界の境界が失われつつあり、全ての仮面ライダーの世界が融合し、世界が消滅しかけている」と告げられる。
それを防ぐために、青年は士に九つの世界を旅するように導く。
かくて、士は世界の崩壊を防ぐために、自分の本当の世界を探すために、異世界へと旅立つのであった。
しかし、何故かそれぞれの世界で「ディケイドは世界を破壊する悪魔」という噂が流れており、それぞれの世界で命を狙われることになる。
基本的な物語フォーマットしては、
1.異世界に旅立つ 「ここが……仮面ライダー○○の世界か」
2.その世界の事情を調べる 「大体分かった」
3.その世界のライダーを助ける 「お前らはこれこれこういう理由で戦ってたんだな。でも大丈夫。この仮面ライダーはこれこれこういうヤツだからな!」
4.「くそ、貴様一体何者だ!」
5.「俺は通りすがりの仮面ライダーだ。 覚えておきなっ! 変身!」→その世界のラスボスを倒す。その世界を救う。
なんとこれが2週間ごとに行われていた。
3−5の過程はまんまLDさんが提唱する『祭壇』の概念そのもの。物語のクライマックスが毎回訪れるという恐ろしい早回し。
1時間で『祭壇』が出て来るのは『水戸黄門』と一緒。ディケイドは仮面ライダー版水戸黄門。ラノベだと、「とある魔術の〜」の上条さんのそげぶ (その幻想をぶち壊す)タイムだね。
それぞれ、仮面ライダーの本放送で1年かけて語ってきたテーマを1時間で語る超圧縮展開。
でも、これは予め元ネタを見ていることによって大体の雰囲気で「情報圧縮」がなされ、結構感動出来るんだよねぇ。
ちょっと説教タイムだけ貼り付けるので、見て欲しい。何も知らなくてもなんかワクワクした気になれる(笑)
ちなみに、哲学さんが一番好きなのは555編の「そんなちっぽけなものを守って何になる?」「ちっぽけだから守らなくちゃいけないんだろっ!!」のシーン(笑)
それから、この他の世界のもめ事を解決する、て言うことは実は「ハーレムメイカー」の構造になってる。
その世界の仮面ライダーと友情を結ぶことによって、ディケイドはその世界の仮面ライダーの能力を使えるようになる。
これって、旅先で次々と女の子を口説いていくハーレムものとして捉えることもできる。
あと、それぞれのライダーの世界は原作とは違うパラレルワールド。けれど、見せ方を変えることによって原作の補完もしてて、とても面白いアイデアだった。
しかし、残念ながら、途中で脚本家が変わってこの「リイマジネーション」の企画は少し変わり、路線変更。
最初の9つの世界を旅して救った後、何故か他のパラレルワールドが大量に作られて、仮面ライダーRXの世界に行ったり、仮面ライダーアマゾンの世界に行ったりした挙げ句、途中で現れた色んな世界の悪役同盟の大ショッカーと戦ったりする。
まあそれで色んな世界を旅したけど、結局また世界の融合が始まって世界の崩壊が始まる。
それでまた紅渡が来て「いや、お前それぞれの世界を救うんじゃなくてそれぞれの世界を破壊して欲しかったんだ」と文句を言い出して色んな世界のライダーがディケイドに襲いかかり、そこでテレビ版はエンド。
で、劇場版ではディケイドこと士が他の仮面ライダー次々と倒し、最後にヒロインの手によって倒される。
しかし、ディケイドの死と共に崩壊していた世界が復活。
紅渡「創造は破壊からしか生まれません。仮面ライダーの物語は人々に忘れ去られつつあり、曖昧な記憶が、世界の融合、崩壊に繋がっていました。
ディケイドによって一度破壊された世界の物語は人々の記憶に刻まれ、復活しました」
とはいえ、肝心の士は復活しない。
ヒロイン「士くんは? 士くんの物語はどうなるの?」
紅渡「ディケイドに物語はありません」
なんてメタ発言して他の世界は復活してもディケイドは死んだままでしたーエンド。
かと思ったら、今までディケイドとして士が助けて来た人々が士を覚えていたために復活。
で、ディケイドと敵対していた悪役同盟が大組織を作って襲いかかってきたけど、まあそれもなんとか倒す。
士「旅は終わらない。俺はこれからも色んな世界を見て行く」
と言う訳で士くん達は異世界の旅を続けるのであった。
主人公は『ここは俺の世界ではない』とかまた邪気眼設定。それでいて、根拠のない自信家で、人を説教するというやっかいな訪問者。
それでいて、ヒーロー像としては、実は『ヒーローに取ってのヒーロー』。世界を救うために戦ってる勇者が辛い時に、ばっと現れて、「お前は大丈夫だ」と助けに来てくれる。背中を後押ししてくれるそんな存在。
やっぱりこう、「できる俺」という自信がみんなにはある訳で、その自信を肯定してくれる人、それでいて悪いところも指摘してくれる人、そんな説教キャラが時代的に求められていたんじゃないかな。そして、『説教≒ハーレムメイカー』だね。
だから、ヒーロー像として、やっぱり上条当麻的な、説教キャラがこの時の流行だった気がする。『レンタルマギカ』の社長とか。
それから、ディケイドの特性として『破壊者/調停者』と言う側面もある。同系統だと、ガンダム00のソレスタルビーイングとか、フルメタのミスリルとか、ラグナロクのリロイ・シュヴァルツァーとか。
あと、異世界を旅するだと、個人的には『サガ・フロンティア』でリージョンを移動するイメージが一番強いかなぁ。後、『レジェンド・オブ・マナ』とか。ゲームばっかりか。
えーと、他の世界を旅するなら、『ソードアート・オンライン』も入れていいかな。
あ、シェアードワールドとして『神曲奏界ポリフェニカ』もアニメ化してた。
今までの作品をごたまぜでクロスオーバーなら『真マジンガー 衝撃! Z編』もあったし、後、少しさかのぼるとCLAMPが『ツバサ』をやってたり、平野耕太先生が『ドリフターズ』を連載したりしてた。
あーあと既存の物をリファインという意味では、『ドラゴンボール改』とか、後歴史上の人物をやたら女の子に変換したりするのが流行ったかも。
それから、『情報圧縮』といったら『天元突破グレンラガン』も忘れちゃいけないね。
戦うのが嫌でもみんなのために心で泣きながら戦うクウガから始まって、最後に現れたのがヒーローを助けるヒーローというのは色々と考えさせられる。
でも、新しいことをするってことは、結局は破壊することなんだよ。
それでも、破壊することによって、余計昔のよさが分かるもんさ。
さて、次回で10年間のまとめをしようと思う。
まとめへつづく