西尾維新『偽物語(上)』読了

 いえーい! 傷物語(上)読了!
 西尾維新最高傑作と噂される「化物語」の後日譚で、阿良々木暦くんの妹達が出てくるお話です。
 なんのかんのでほぼ全員に出番があって、かつ哲学さんの大好きな忍とひたぎさんの出番が凄く多かったので大満足だよ!
偽物語(上) (講談社BOX)



 いやー、やっぱりひたぎさんの会話はいいなぁ、凄くいいなぁ。
 でも、せっかくひたぎが彼女ポジションに立ったのに羽川さんが絶対神として降臨してるんですか! 怖! ていうか、ひたぎさんですら羽川さんには敵わないのか。強いなぁ。
 でも私的な阿良々木ハーレムだと

 戦場ヶ原ひたぎ忍野忍>>八九寺真宵神原駿河羽川翼千石撫子

 くらいのランキング。何故か凄く哲学さん的にランクが上がらない羽川さん。あんなにいい人なのに。あんなに凄い人なのに。阿良々木くんが結婚するなら羽川さんだよねー、の意見には確かに同意出来してしまいそうだがしかし、哲学さんはなんか凄くひたぎさんが好きなのである。マゾい。
 でも、彼女はツンデレではないし、ヤンデレでもないと思うんだ。だが、そこがいい。
 彼女の魅力を語るならばひとえに罵詈雑言なのだがそれにしても阿良々木くんの突っ込みはいいなぁ、何かいいことがあったのかい?、と忍野メメが聞きたくなるのも頷ける(笑)




 それはいいとして今回の話の主軸は正義と偽物の話。
 なんのかんので、阿良々木くんてば他人を必ず助けてしまう人間だけど、彼は正義でもなければ正義の味方でもないんだよねぇ。Fate/stay night衛宮士郎とは違う。むしろ、妹たちがとても衛宮士郎タイプ。だが、そんな妹たちを偽物と彼は切って捨てるんだよねぇ。けれど、彼は自分のことも偽物といい、本物は羽川さんだけという。ああ確かになぁ。
 なんていうか、羽川さんは遠坂凛をもう一段階上のグレードへ高めてセイバーの聖性を加えてこねくり回した挙げ句に出来上がった完璧超人のような人だからなぁ。




 と、ここまで書いて気付く。なるほど、哲学さんがひたぎさんが好きな理由がなんとなく分かった。まあ、阿良々木ハーレムは全員が全員内に何かを抱え込むタイプではあるが、哲学さんが好きなランキングはワガママ度に従ってる。内部に下手な抑圧を抱え込まず、基本的に自分にストレートであることが哲学さんの好感度ポイントになっているらしい。まあ、羽川さんも正義感で行動している時はなかなかストレートなお方だけど、自分のことになると意外と溜め込んで猫に取り込まれるくらいだからなぁ。哲学さんの自分の中のヒロイン論が大分掴めてきたぞー!(どうでもいい




 まあ、脇道に逸れた哲学さんの好みはおいといて、阿良々木兄妹は共に他人のために行動するタイプなんだよねぇ。描かれては居ないけど、阿良々木くんは手間のかかる妹達や他の人達をずっと助けてきたから、その代わりに妹たちはずっと兄のように他人を助けるように生きようとしてる……そんな感じがする。阿良々木くんは無自覚だけど、極端に他人を助けようとする人生を傷物語以前にも生きてきたのだろう。そんな兄に何度も何度も助けられてきたのなら、妹たちはきっと自分のためではなく他人のために行動するようになるに違いない。
 でも、兄の阿良々木くんは常に理屈ではなく感情で人を助け、妹達はどちらかといえば理屈に基づいた感情で正義を振りかざしてる。だから、兄と妹たちは決定的に違う。
 少なくとも、ファイア・シスターズならキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを助けない。それだけは断言できる。むしろ、殺そうとするんじゃなかろうか。この差は余りにも大きい。
 あと、阿良々木くんは間違っていると思いながら他人を助けるが、妹たちは間違ってるとは決して思わない。色々と似たようで違う兄妹だ。
 今回の話で、また阿良々木くんの魅力が引き出せたのではないかなぁ。というか、哲学さんはひたぎさんと忍の元気な姿が見れて楽しかったのだけれど。
 ま、本筋なんてどうでもよくて、ともかくヒロイン達のボケにひたすら突っ込む阿良々木くんを見てればそれだけで楽しい話なので、それ以外のことはむしろ蛇足みたいなもんなのでこんな考察は特に意味はないけど、ひたぎかわいいよ、ばっかり書くのもあれなので取りあえず書いておく(笑)




 あ、ちなみにファイアシスターズは可愛かったのだけれど、阿良々木くんに感情移入してしまってふつーに「身内は性の対象外」ルールが適用されて可愛い以上は特に思わなかったなぁ。でも、兄に殺人技を本気で仕掛けてくる妹は嫌いではない。


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