「天元突破グレンラガン 最終回『天の光は全て星』感想

 最高の最終回。
 色々振り返って一番好きなキャラは螺旋王。
 先週の放送でみんなの願望が多元宇宙で再現されていた訳だけれど――。
 なかでもヴィラルと螺旋王のものは切なかった。
 獣人であるヴィラルは不老不死を手に入れたし、強靱な肉体もある。けれど、どうあがいた所で獣人は子供を作ることが出来ない。そんなヴィラルが求めた内なる願望が妻と子供が欲しいと言う辺りが泣ける。
 これからもヴィラルは友人達が死ぬのを間近で見ながら永遠の戦いへと向かっていくのだろう。
 対して、螺旋王の夢見た願望は「授業参観」だったのだけれど――よくよく考えればこれも深い。
 彼は千年もの間、ずっと子供を作っては捨ててきたのだ。恐らく内なる螺旋の力をくすぶらせつつも、人類を守るために永遠にも近い倦怠を強いられてきた訳だ。その発散としてたぶん気まぐれに子供を作り、自分に刃向かうようになったら捨ててきたのである。
 子が親に刃向かうというのは成長に置いてとても大事なステージだ。そこから子供は親を越える。初めて子供は自分の力で歩き出す。
 しかしながら、もし螺旋王を越えられてしまえば『人類抹殺システム』が発動してしまうのでどれだけ愛情を注いでいたとしても螺旋王は人類を守るために自分の子供を殺さねばならない。
 そんな螺旋王が夢見た願望が授業参観。恐らく、子供の成長を見守りたかったのだろう。どんな形であれ、螺旋王は人類全体のゴットファザーであり、であるが故に人類を地球という檻に閉じこめて見守ってきた。その成長の可能性を封じ込めて。
 けれど、伸びやかに、健やかに成長した子供の姿を見たいと本心ではずっと思っていたのだろうなぁ、と思う。
 だから、最後の最後で、彼にとって唯一成長した姫であるニアを大切に思い、その為に命を賭けていった螺旋王ロージェノムはやはり素晴らしいなぁ、と思う。

 とはいえ、シモンには一話の冒頭のように無限の宇宙をブータと共にハーロックの如く旅し続けて欲しかったかもなぁ。
 でもまぁ、コアドリルをダリーに託した時点でもう彼は次世代に全てを託したのだなぁ。……でもシモン、お前まだ21才かそこらだろうに。見切りが早いよ!
 まあ、あのまま地球の政府に残っても前と同じ失敗を犯すと思ってあえてロシウに全権を任せたのだろうけれど。
 まあもしかしたら――最後のシモンは銀河の旅を経て、地球に帰ってきて地球で穏やかに過ごしている姿なのかも知れないけれど。

 これは一人の男の物語。
 少年の物語は成長したらそこで終わるのだけれど、男の一生はただ何かを成し遂げただけでは終わらない。
 その長い人生を27話と圧縮したグレンラガン――なんだかんだでとても面白かった。
 さて、あとは瀬戸の花嫁の最終回が楽しみだ。